組織改革
~組織設計の基本的な考え方~
第4次ベンチャーブームから6年が経過し、順調に成長している企業様も増えたことと思われます。
しかしながら「会社が大きくなったはいいものの、管理が大変になっている。解決策もわからない」という
企業様も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな企業様のお悩みを解決する手段の一つとして、組織設計をご紹介します。
組織設計とは何か
ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、改めて説明させていただきます。
組織設計というのはその名の通り「組織作りを行う」ことです。
どうしたら自社の生産性は向上するだろうか。どうしたら社員はストレスなく
働けるだろうか。そういった様々な悩みを解決する手段の一つとして選択されます。
一般的には事業拡大・縮小に伴い行われることが多いですが、中には重大な
コンプライアンス違反が発生した場合の再発防止策や、退職率低減のために実施
されることもございます。
前提
上述したように、組織設計は様々な課題に対する解決策の一つです。
よって組織設計は企業の数だけ存在し、正解がございません。
しかしながら、組織設計の考え方というのは凡そ共通しております。
大前提として「どのような組織にすれば、現在抱える課題が解決できるか」がございます。
よって、課題を可能な限り具体化する必要がございます。

考え方
組織設計は強力な課題解決策であるものの、万能ではありません。
どんな組織の形を選んだとしても、必ずトレードオフが発生します。
よって、まずは「最も大きな課題」を選定し、それに対して適切な「軸」を決定します。
最も大きな課題の決め方というのは存在していませんが、経営者が上記で具体化した課題のうち
何を解決すれば最も効果が大きいか、もしくは組織設計以外で解決が難しいものは何かを
考えて決める場合が多くみられます。
次に決めるべき「軸」は比較的簡単です。
まず、軸というのは会社の基本である「分業」において、何を基準に区切るかというものです。
日本企業で最も多く見られるのは機能別で、これは「経理財務業務」「営業」などで分けるものになります。
また、事業別も多く見られます。事業別では事業部ごとに営業や開発などの機能が存在しています。

画像では、最も大きな課題は「誰が何をすべきか、責任の所在が曖昧」なこととなっています。
この場合であれば、責任を明確にし、各個人の役割も決めやすい「機能別」の軸が適しているでしょう。
また、例えば「適切かつ明確なレポートラインが決まっていない」ことを最重要課題にした場合は
「事業別」あるいは「プロセス別」で、実際の作業とレポートラインをリンクすることも選択の一つです。
ここで注意すべきは、先に述べたように必ずトレードオフが発生することです。
例として、機能別はノウハウを共有しやすく人材育成が容易ですが、各機能の連携が難しいです。
一方で、事業別は各機能の連携が容易になりますが、車輪の再発明といった無駄も発生します。
よって課題へのアプローチが大前提ではありますが、、人材や資金などのリソースも加味して慎重に軸を選定してください。
最重要課題から外れた課題に関しては、組織設計以外での対応を検討しましょう。
例えば「社員が混乱しないための規則が存在していない」ならば、組織設計ではなく
委員会の設置や規則の交付を試みることができます。
最後に
組織設計は考え方こそシンプルなものの、組織設計専門のコンサルタント会社が存在するような
繊細かつ重要な経営活動です。
失敗した場合は会社全体の生産効率が低下するだけでなく、従業員離職や重大なインシデントが
発生するリスクもございます。実行時には専門家の判断を仰ぐことをお勧めいたします。
弊社には中小企業診断士が在籍しております。組織設計等を始め、会社のお悩み事がございましたら
何なりとお申し付けください。
追伸:
軸の例として、具体的な企業を紹介いたします。

※ SONYは事業別組織を形成していますが、実際は事業持株会社制によるグループ企業であり、1組織と見做されない場合もございます。