税制改正大綱はスタートアップ企業を重視していた
~会計事務所が母体のMEコンサルティングが解説~

日本では毎年12月に税制改正の大綱が閣議決定されます。今年も例に漏れず12月22日に税制改正の大綱が発表されました。
税制改正大綱とは税制に関する改正案を作成する前段階のものになります。
これに基づき財務省と総務省が各領分の法案を国会に提出し、衆議院と参議院で可決後に改正法として施行されます。
つまり、今後の日本の経済をはかるうえでは税制改正の大綱を知ることは非常に重要となるのです。
そこで今回は、発表された税制改正の大綱から日本経済がどこを目指そうとしているのかを考えようと思います。

まず初めに今回の税制改正の大綱のうちで重要なものをピックアップして纏めました。
詳細を確認したい方はこちらの財務省の公式ページからご確認ください。

  1. 国民の可処分所得を増加
    • 対象者: 年間合計所得金額が1,805万円以下の居住者。
    • 内容: これらの居住者の所得税額から一定額(本人分3万円+同一生計配偶者又は扶養親族1人につき3万円)を特別控除する​​。
    • 効果:消費の促進による経済活動の活性化
  2. 企業の資本蓄積と生産性向上のための措置
    • 対象者: 企業全般(特に戦略分野で活動する企業やイノベーションを推進する企業、スタートアップ)。
    • 内容: 戦略分野国内生産促進税制やイノベーションボックス税制の創設、賃上げ促進税制の強化、スタートアップ・エコシステムの強化措置などを実施する​​。
    • 効果:技術革新と国内生産力の強化を促進を狙うことで長期的な経済成長と競争力を強化
  3. 新規事業経営者等への優遇措置
    • 対象者: ストックオプションを受ける特定の取締役等。
    • 内容: ストックオプション税制の適用条件を変更し、新株予約権の行使による株式取得の経済的利益に対する非課税の対象を拡充する​​。
    • 効果:新規事業の促進によって新たな市場の開拓や経済成長に寄与
  4. 子育て支援
    • 対象者: 年齢40歳未満で配偶者を有する者、40歳以上で年齢40歳未満の配偶者を有する者、または年齢19歳未満の扶養親族を有する者。
    • 内容: これらの個人が認定住宅等の新築や購入に際して受ける住宅借入金等の特別控除を実施する​​。
    • 効果:子供たちに健全な環境を提供し、将来の労働力を確保
  5. 土地所有者等が公共事業によって受ける損失を低減
    • 対象者: 公共事業によって自分の土地や漁港の運営権を失った者
    • 内容: 譲渡所得の5,000万円特別控除の適用対象を拡充し、簡易証明制度の対象とする​​。
    • 効果:土地・住宅市場の流動性を高め、都市開発や地域の再生に寄与

基本的には税の低減を述べており、資金注入が必要な個所に税を充てるのではなく税を取らない方針を採用することで国力の強化を狙っています。

上記を見てみると短期的な狙いと中長期的な狙いが見えてきます。

  1. 短期的な狙い
    ・消費の促進
    ・新規事業の開拓
    ・出生率の向上
  2. 中長期的な狙い
    ・経済活動の活性化による成長
    ・国家間の競争力の向上
    ・未来の労働力の確保
    ・都市開発
    ・地域再生

上記5つある中でも特に「2.企業の資本蓄積と生産性向上のための措置」「3.新規事業経営者等への優遇措置]の2点は新規事業を行うスタートアップ企業等に関連する優遇措置であり、日本政府は経済活動の活性化・成長と国の競争力向上の為にスタートアップ企業への注力が有効だと考えていることが伺えます。
そのため今後はより一層スタートアップ企業へのアプローチが行われると考えられ、損をしないためには細かな税制の変化等に対して常に注意する必要があります。
しかしながら、税制の変化を注視して最適な制度を選択し続けるというのは専門知識と労力が必要となります。


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