組織改革
~組織設計手順~

前回のコラムでは組織設計の基本的な考え方についてお話いたしました。
今回は組織設計の具体的な手順をお話します。

前回振り返り

前回は「最も大きな課題」の選定と、それに対して適切にアプローチできる「軸」
の決定についてお話をさせていただきました。ここでの「軸」は「分業の基準」となります。

分業について

分業で選定する軸は基本的に一つですが、分業自体は横と縦の二回に分けて行われます。

・横の分業:軸の通りに分ければよいため、前回コラムをご参照ください。
・縦の分業:横で分業したものを、どうやったら効率よく回せるかを考えて分業します。
      後述する【役職設置】を見据えた役職先行型での分業が選択される傾向にあります。

役職先行型は権限によって分業を行う事を指します。
本来、権限とは【役職設置】を経て各役職へ付与されるものですが、
役職先行型はその後の役職設置が簡単という理由で採用しやすいものとなっています。
役職先行型以外では意思決定プロセスや評価体系で分けられることもあります。
面白いものとしては「人事評価を数値化し、点数ごとに上から並べる」というような、
人をベースに配置して分業(業務内容)を役職設置時に考えるものも存在します。

役職設置

上記の分業を経て、具体的な職務を決定します。この際、権限や責任・役割範囲を明確にする必要があります。
なお、上述した役職先行型ではある程度の権限などが既に定められている為、このプロセスを軽減しやすくなっています。

画像を見てみると社長~部長まではどの部も役職名が同じですが、次の課長クラスの階層になると
営業部に関しては支部長になってます。また、係長の階層では工場長や担当者が入っていたり、
開発係長が抜けていたりと綺麗に纏められることは稀です。

パス接続

役職の設置まで完了したら、次は各役職のパスを接続します。
パスは先ほどの縦の分業での基準を基に決定していきます。

上記のような形では、一般的に上から下に対して評価、命令、決定などがあり、
下から上に対しては報告、提案などがあります。パス接続は他の部分と比較して蔑ろにされる傾向にありますが、
ここをしっかり定めないと、後述する【継続的な組織設計】において、失敗に気が付くことが難しくなります。

継続的な組織設計

前回からここまでで、軸の選定~パスの接続までを行ってきました。
しかし、一回で最適解を導くのは非常に難しい作業です。

例えば、上図の「A製品工場」が青森にある場合、営業の「青森担当」は「東北支部長」よりも
「A製品工場長」と密に連携したほうが良い場合も考えられます。
そのような場合は機能別軸ではなく地域別軸の検討も必要でしょう。

組織設計は軸の選定からパスの接続までを何回も繰り返して最適解を見つけていくことになります。
「作成したパスの内容と意思決定に滞りがない」+「これ以上良い形がない(思いつかない)」ということが
組織設計プロセス終了の分かりやすい指標になりますので、特に最後のパス設計は慎重に行う必要があります。

最後に

組織設計は企業規模が大きくなればなるほど難しくなり、費用も時間も指数関数的に大きくなります。
また、小規模組織の場合は人的リソースに余裕がないことも多く、失敗した際の
リカバリーができずに大きな損失を出すなど、リスクが高くなる傾向にあります。
ご自身で組織設計に取り組まれる際はこの記事のみならず広く情報を収集し、
十分な準備を行ったうえで実施してください。

弊社は中小企業診断士が在籍しており、組織設計を始め、企業のあらゆる課題の解決をお手伝いできます。
是非ともお気軽にご相談ください。